小さな国語塾のつぶやき
理由と言い訳
江戸時代に書かれた小説、上田秋成の「雨月物語」は「怪奇小説」と一般的には流布している。だが、おどろおどろしいだけの恐い小説ではなく、人情味あふれる作品が多い。中でも「菊花の約(ちぎり)」を読むたびに兄弟愛、そしてその兄弟の絆に感動した尼子経久の対応には涙が出そうになる。義兄弟のちぎりを結んだ兄、宗右衛門は「9月9日にもどる」という約束を果たすために自殺(霊魂は一日千里をすすむことから)し、亡霊となって弟左門のもとへ行く。そして弟、左門は義兄の心にこたえ、仇をうつ。これらは作り話であり、現代とは時代背景が全く違うのだが・・・。ただ、「約束を守ろう」とする気持ち、誠意は見習うべき点が多い。例えば、約束をたがえるのが悪いのではなく、その場合にきちんと「謝罪」「理由」を説明すべきだと思う。この場合の「理由」は決して「言い訳」ではなく、相手を納得させるための手段。理由なしに約束や取り決めを一方的に反故されることほど不快なことはない。正当な「理由」と「言い訳」をごっちゃにすることなく、使い分けることが大切。
2014/11/12 01:25
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