小さな国語塾のつぶやき
合力
「合力」と聞いて皆は何を思い浮かべるだろうか?おそらく理科の「2つ以上の力を合成した力」と定義し、小型の辞書もそれくらいの意味しか載せていないだろう。が、実は日本には昔から「合力」という言葉が存在し、古典の時代にはコウリョクと読ませ、「力を添えて助ける」意を有した。室町時代初期の『義経記(ぎけいき)』にも「三日がうちに浮き橋を組んで、江戸太郎に合力す」と出てくる。源頼朝が隅田川を渡ろうと江戸太郎(重長)に浮き橋を組ませた折、葛西三郎こと葛西清重が合力した、つまり助勢したというのである。また、明治期に大森貝塚を発見した米人モースは、江ノ島で過ごした経験を次のように書き留めている。「人力車夫や漁師達は手助けの手をよろこんで『貸す』というよりも、いくらでも『与える』」(東洋文庫『日本その日その日』)。近代日本の庶民に合力の精神が広く浸透していたことがうかがい知れる。皆が嫌う古典。昨日も某中学生に「平家物語を解こうか」と声をかけた瞬間にブーイングを飛ばされてしまったが、実は国語の知識としての勉強のみならず古典を勉強することによって日本人気質の素晴らしさを学べることこそが、自分自身が古典を愛する所以である。ただ、そんな暢気なこと?を言えるのは、訳わからない暗号のような古典を目の前にして四苦八苦し、克服したという中学生時代があるから。
2016/01/16 11:02
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